それだけじゃないこと。
当社は2003年にWebシステムの開発を専門にした会社として設立されました。
ですから、もともとECサイト構築が専門ではなく、Webを使った新しいサービスや仕組みを
お客様と一緒に考え、問題を解決することを得意としてやってきました。
設立から数年、お客様もすこしずつ増え、ゆっくりではありますが、メンバーも増えていきました。
ところが、私たちは数年前にあるプロジェクトで大きな失敗をしてしまいました。
そのプロジェクトでは、私たちはお客様からの膨大な要望・要件をまとめられず、
膨らんでいく仕様をコントロールできなくなっていました。
もちろん、手放しで何もしなかったわけではありません。しかし、その案件に対して、
私たちのプロジェクトマネジメント能力は決定的に欠落していました。
いや、そもそも体系的なプロジェクトマネジメントを確立せず、
担当者の能力を頼りに仕事をしていたため、それ以上のプロジェクトをコントロールする
ことができなかったのです。
結局このプロジェクトは納期に間に合わず、連日連夜社員総出で作業し、
盆も正月もないような有様でした。いわゆるデスマーチです。
最終的に納品はできたものの、お客様の満足度は低く、パートナーからの信頼も
大きく傷ついてしまいました。
それだけでも、大変な損失ですが、そのプロジェクトに人を割くことで他のプロジェクトに
しわ寄せが行き、連鎖的に各プロジェクトが厳しい状況になりました。
そのような状況が続く中、あるプロジェクトでお客様から費用をお支払い頂けないという
事態が起きてしまいました。
何度も話し合いを重ねたものの状況は一向に良くならず、時間だけが過ぎていきました。
そして、財務状況の悪化を止められず、あと数ヶ月でどうにもならない状態になってしまうというところまで
追い詰められてしまったのです。
私はこの案件の対応に奔走しながらも、迫り来るタイムリミットを前に、
会社の閉め方を考えざるを得ませんでした。
そこで、社員の再就職が可能な時間を確保しつつ、お客様にご迷惑がかからないような
計画を作り、社員に話しました。
しかし、社員からはフラッツが残るプランを作りたい、
今の仕事を続けたいという強い要望がありました。
実はその時、私はそのプランを持っていましたが、話すことが出来ませんでした。
それは、全社員を残すことを前提に、役員報酬、事務所の移転、社員の給与などを見直し、
仕事の構成の変更を計画したものでした。
既に倒れ掛けているものを起こすのですから、
取れるリスクは非常に小さく、犠牲は大きく、厳しいもので、
それを実行する為には全員の強い意志が必要でした。
社員の強い要望を受けて、そのプランの説明をすると、入社間もないプログラマの一人は、
自分の仕事の責任が大きくなり、それを担える自信がないと言うことで、退職を決めました。
(その社員は、とある開発会社に入りました)
私はそれが当然だと思いましたが、その後、何度も議論を重ねたところ、
状況は厳しくとも数ヶ月の操業が可能なプランができあがり、
選択肢として検討することができるようになりました。
とはいえ、このままでは単なる延命に過ぎず、半年後には似たような状況が
再び訪れることは間違いありません。
半年以内に根本的な改善や成長の見込みがなければ最初のプランを実施することになります。
私たちは、それを避けるために、どんな手があるのか探し始めました。
実は、デスマーチの案件が終わった直後から、改めて当社のプロジェクトマネジメント
体制を作るべく動いていました。
プロジェクトの定義や位置づけ、ゴールツリーの設定、PMBOKや中途半端やっていた
XP(eXtreme Programing)の分析、これまでのやり方、失敗の分析と対策、
ツールの利用や適用方法など、基本的な部分から全て洗ってみる必要がありました。
しかし、適切なプロジェクトマネジメントの技術やノウハウが、簡単に身につくわけではありません。
そこで私たちは、体系的なプロジェクトマネジメントを取り入れると同時に、プロジェクトの性質を
より管理しやすいものに変える必要があると考えました。
私たちの強みを活かしながら、プロジェクトマネジメントがしやすい仕事に
絞り込むことで、プロジェクトの成功率を上げ、ムダのない体質を作るということです。
それが当社がオープンソースのEC専用CMSを使ったサイト構築や問題解決にターゲットを絞ったきっかけでした。
当社は、新しい技術を使ったWebシステム・サービスの受託開発を得意としてきましたが、
他方で、Zen Cartの日本語化プロジェクトに携わり、多くのECサイト構築案件にも
取り組んできました。
このWebシステムの開発で培った技術力とZen Cartを通じて得られたECの知識を
活かしたサービスをご提供することで、他社がまねることが難しく、かつ、
お客様の問題を一緒に考え、解決できるような会社になれるのではないか?
そんな仮説を作り、私たちはこの再生プランを実行することにしました。
それからの半年間は厳しい状況が続きました。しかし、ECサイト構築だけでなく、
ECシステム乗換サービス、ECサイト高速化といったサービスが次々に生まれ、
また、既存のお客様の応援もいただき、新しいプロジェクトマネジメントも機能し始め、
状況は少しずつ良い方向に向かっていきました。
今では、当時の水準を超え、社員の給与なども元に戻り、
わずかではありますが、利益を出せるようになりました。
そして、今もそのときに立てた仮説を検証し、修正し、
試行錯誤しながらチャレンジを続けています。
私たちはお客様が抱えている問題を解決したいと思っています。
それも、お客様と私たちが継続的に成長していけるように。
それはフラッツが設立された当時と大して変わってないことですが、
でもそれは「それだけじゃないこと」なのです。
代表取締役 久末隆裕